「チベットとエストニア」なんて大仰なタイトルをつけてしまったが、チベットとエストニアは、普通に考えると何の関係もない。まったくないかといえば、ダライ・ラマ14世がエストニアを訪問し、首相や大統領と会談した程度の関係はある。ダライ・ラマ13世時代からつながりがあったようだ。が、その程度の薄〜い関係だと思う。以下、このエストニアについての本を読んで、自分の中でほんの少しチベットと結びついただけの幻覚を記す。
ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来
- 作者: 小島健志,孫泰蔵
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書との出会いはダイヤモンドオンラインの記事。PRと書いてないので取材記事かと思って読み始めたら、結局、本の宣伝だったという、いつものやつだ。ブロックチェーン・AIといったバズワードを盛り込んだ書名からして、疑ってかかりたくなる。でも1冊ぐらいエストニアの本を読んでみてもいいかなと思って釣られてみた。
エストニアについての知識はほとんどなかった。知人が移住したので、国名だけは意識していたものの、他のバルト三国同様「ロシアの隣なのにけっこう早くから独立して頑張ってる国」程度の認識だ。Skype発祥の地というのはなぜか知っていた。あと、外国人も公式な仮想住民に登録できるセカンドライフ(死語)似のシステムがあるとかないとかいう、ニュースでちょっと読んだ程度のあやふやな知識がせいぜいだった。
そんな縁遠い国がIT先進国として絶賛されているという。そういえば、以前、取材に行ったIT企業でエストニアの話題が出たことが何度かあった。そもそも移住した知人の旦那はITエンジニアだ。そうか、そういうことだったのか。
エストニアのIT先進国っぷりは、ちょっとググればいくらでも知ることができるので、ここではふれない。×%ポイント還元!とか、そういうレベルの話ではない。まるごと電子政府化され、しかもけっこう信頼され、利用されているという。製造元がもう使うなと言っているInternet Explorerでしか利用できないe-taxを以下略。とてもうらやましい。全国民を顔認識して監視下においている某国のようなディストピア感もないようだ。
が、そうやってエストニアをほめるのが本題ではない。本書によって、これまで単発のニュースではよくわからなかった、そもそもなぜ電子政府なのかという背景とビジョンを知ることができた。なんと大統領のインタビューによって。46歳の女性が大統領。それだけでうらやましいが、それはさておき。
なぜ電子政府なのかという理由はもちろん1つではないが、その中に「ロシアが攻めてきたら…」という背景もあるようだ。これは大統領が直接語っていることではない。ウクライナがクリミアをとられてしまったように、ロシアと海に挟まれたエストニアはいつ侵攻されてもおかしくない。実際エストニアは歴史的にいろんな国に支配されており、徴兵制もある。
そこで電子政府だ。超ざっくりいえば、データが完璧に残っていれば、仮に国土を一時的に失っても再起動できるという発想。なんと国民の遺伝子データも収集している。その先に、攻殻機動隊の電脳化された世界を思い浮かべ、全難民の記憶をアップロードせずに米帝の衛星とともに散ったタチコマたちを偲ぶかたわら、チベットへと思いが至った。
チベット人は自らの国を失い、中国領チベットで暮らす中国籍の者もいれば、チベット難民として他国で暮らす者もいる。あわせて600万人ぐらい。そこで、だ。いっそのことエストニアの電子政府システムをカスタマイズし、電子化された「eチベット」に全員を住民登録しちゃったらどうだろう。少なくともチベット亡命政権の本気度が発信できるのではないか。首相選挙の際も、本土を含めたチベット人全員が有権者登録の対象となり、スマホで投票できる。
もちろん中国当局が全力で破壊工作するだろうが、ゲームのふりをするとか、寺のふりをするとか、セカンドライフのふりをするとか、いろいろとやりようはあるだろう。最初の本人確認は困難をきわめるが、一度やっておけば、将来的に高度な自治または独立が実現したあかつきには、即座にリアルチベット運営システムへと移行できる(はず)。
なんて、途中でちょっと本気になってきたけど、内容ゼロカロリーの夢のようなお話でした。ちょっと何言ってるかわからない幻覚なので、ご寛恕のほどを。本じたいは、とても楽しめました☆
ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来
- 作者: 小島健志,孫泰蔵
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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