チベット式

チベットの今、そして深層 by 長田幸康(www.tibet.to)

【本】『チベットの歴史と社会』(上下)(岩尾一史・池田巧編、臨川書店)

先日インスタにアップした通り、『チベットの歴史と社会』上下巻をAmazonで購入。

 
 
 
 
 
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↑に書いたとおり、こういうのは買えるときに買っておかないと絶版になりかねない、という昔からの心配癖で(笑)。電子版も出なさそうだし。チベット総説もので2巻本というと山口瑞鳳先生『チベット』(1987年)があるけど(というか昔は一般に買えるのはコレしかなかった)すでに絶版。1人で全部書くという時代じゃなくなったのかもしれないですねえ。

で、おまけというか、臨川書店のサイトに「チベット地域図」のPDFを発見!

www.rinsen.com

 

 

 

【雑】チベットといえば太陽光発電(Jackeryソーラーパネル&ポータブル電源のテスト)

晴れの日が多く、陽射しが強く、障害物が何もないチベットでは、太陽光発電は古くからおなじみ。昔は(発電じゃないけど)日光を集光してヤカンのお湯を沸かす設備があったり(今でもあるかも)、ずいぶん前から、草原のテントでは昼間ソーラーパネルでバッテリーを充電して、照明用などに使っていた。今ではスマホの充電に欠かせない。もっとも、電気の引かれた道路沿いのテントに引っ越した牧民も多いだろうけど。

ひたすら平らで広い平原では、メガソーラーどころかギガソーラーも可能だろう。もしかしたらGoogle Earthで見られるかもしれない。

日本のように山林を切り開いて野立てメガソーラー林立、という風景はディストピア感満載だが、そんなエコだか何だかわからないソーラーパネルの最小バージョンがウチにもやってきたのでご報告。災害対策用にポータブルバッテリーを備えておこうというのが、そもそもの発端だが、買ったことのない商品なので、いきなり1500Wとかでかいのを買う勇気がなく、まずは240Wからスタートしてみる。正直240Wでは熱を使うようなことは何もできないので役に立たないのだが、とりあえずテストだ。

 
 
 
 
 
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メーカーはJackery。アメリカの会社で、ポータブルバッテリーでは有名らしい。もちろん中身は中国製だ。日本ではJVCケンウッドとも提携している。JVCバージョンも出ているが、購入したのはAmazonのセールで安くなっていたJackeryプロパーの「Jackery ポータブル電源 240」とポータブルソーラーパネル「Jackery SolarSaga 60」。合わせて3万円ちょっと。もともとキャンプやアウトドア用なので、軽くて持ち運びやすく、収納しやすい点も、狭小住宅に優しい。

Amazonのレビューには色々書いてあるが、数回充電・放電した範囲ではまったく問題なし。3Fのベランダに置いたり、物干し竿に吊るしたりして(ちゃんと吊るせる穴がついているのが優秀。吊るすためというよりロープで固定するためだろう)、できるだけ陽を当てるようにすると、4〜5時間で20%から80%くらいになる。逆に言うと、4〜5時間かけてその程度だ。なにせ午前中は陽が当たらず、夕方になると、新たに建った向いの家に阻まれるので日照時間が限られすぎ。途中で電柱や電線にも邪魔される。チベットがうらやましい。

前述のように240Wなので、スマホを充電したり、オンライン会議の時のMac Book Airに使ったり、デスクの照明に使ったりする程度しかできない。バックパッカー必携、湯沸かしコイルでも500Wは必要らしい。

購入前に比較して迷ったのは、安定のAnker。バッテリー系はほとんどAnkerを愛用しているので買いそうになったが、上部の取手が収納できず(たぶん)、上に物を置けなさそうだったので却下となった。スマホ充電するとき普通、上に置くと思う。

というわけで、天気に敏感になった今日このごろ。このまましばらくテスト運用してみよう。ちなみにソーラーパネルはもう1つ連結することもできるらしい。で、本気で災害に備えるなら、もうちょっと大型のバッテリーを買わないとね。

 

 

 

 

 

 

【本】THANGKA[タンカ] 馬場﨑研二 画集

インスタにアップしたように↓さっそくamazonで購入。

タンカ(チベット仏画)絵師、馬場﨑研二さんの画集がついに出ましたよ♪

ひとまず集大成、ですよね。

 
 
 
 
 
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amazonへのリンク貼っておきますね。「馬場崎研二」(「﨑 」じゃなくて「崎」)で検索するとヒットしないので要注意ですね。日本語むずかしい。

↓こういうのもありました。懐かしい。

 

 

【雑】【本】『最悪の予感 パンデミックとの戦い』(マイケル・ルイス )

チベットで高地順応に失敗しそうになっている感じの眠さとだるさ。そして37.1度という中途半端な微熱。副反応はそれだけだった(↓インスタに上げた写真)。ファイザー2回目接種が終わって1週間、目下、抗体産生中(のはず)。

 
 
 
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で、微熱で仕事に向かない体調だったので読んでいたのが、↑の背景に写っている『最悪の予感 パンデミックとの戦い』(マイケル・ルイス)だ。マイケル・ルイスは『マネー・ボール』や『マネー・ショート』の原作でおなじみ。本当にあったことをドラマチックに伝える系のノンフィクション正統派だ。本書ではホワイトハウスやCDC(疾病予防管理センター)の有名な誰かではなく、「郡の保健衛生官」や「退役軍人保健局の医師」といった無名の人物を主人公として、COVID19との戦いを浮き彫りにしている。よく見つけてきたなあ、こういう人たちを。

約400ページほどあるが、コロナの話は後ろ半分で、前半は豚インフル(新型インフルエンザ)やSARSなどの話。すでにその段階で感染症対策は色々と問題をはらんでおり、ついに新型コロナで顕在化したという流れだ。特に、パンデミックものの映画とかでヒーローぽく描かれがちなCDCがひどい。そのディスられっぷり、ダメっぷりが面白かった。たしかに時々変なこと言う人たちだなあとは思っていたが。

以前、「8割おじさん」こと西浦教授の本も読んだが、結局、大きな組織が非常時に色々とうまく機能せず、ほとんどの物事は合理的にも科学的にも進まないというのは、アメリカも日本も大して変わらないようだ。そんな中で献身的・個性的・ヲタク的な専門家の何人かが出会って戦いに挑んでいく過程は、そのまま映画になりそう。

というか、大真面目な当事者たちが、自分らのグループに「ウルヴァリンズ」みたいな名前をつけたりしていて、やっぱこの人たち好きなんだな、そういうのが。なにかこうアメリカだなーという正義感・価値観を共有して突き進んでいく感じが、ストーリー全体を明るくしてくれている。ゲイツ財団やザッカーバーグのマネーがちゃんと絡んでくるあたりもアメリカの希望だろうか。

現実のパンデミックとの戦いがまだ続いていることもあり、盛り上がって終わるという感じではない。が、主人公が次のステージに、実にアメリカ的にステップアップし、明日を見つめる的な、前向きな終わり方が、これもそのまま映画になりそうだ。最後の最後、池上彰さんの解説で、日本の現実に引き戻されるところも含めて、微熱がありながらも一気に読めてしまった。 

 

【本】永沢哲編著『チベット仏教の世界』(法藏館)

ひさびさにチベット関係のお仕事をさせていただいたのでご紹介。以前サンガから出ていた『チベット仏教』の第二弾です。こちらもサンガから出るはずでしたが、刊行直前に破産。しかし法藏館さんが引き継いでくださるという奇跡によって世に出ました♪

instagramより↓

 

 
 
 
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【本】『犬の伊勢参り』(仁科邦男著)

そもそも犬のことを調べていたわけではないのだ。コロナ禍の東京イジメでお盆に帰省できない人が多く、お墓参りの代行が盛況だというニュースを目にしたのがきっかけだった。それなら、お寺や神社の参拝代行もあるんじゃないかと思い、調べている中で偶然見つけたのが本書『犬の伊勢参り 』(仁科邦男著)。ちなみに、墓参り代行はすでに過当競争になっているが、代理参拝はまだ本格的にはマネタイズされていないようなので、どなたか趣味と実益を兼ねて、いかがだろうか? そもそも代理でいいのかという疑問はさておき、需要はあるようだ。

犬の伊勢参り (平凡社新書)

犬の伊勢参り (平凡社新書)

  • 作者:仁科 邦男
  • 発売日: 2013/03/15
  • メディア: 新書
 

そのものズバリの書名。つまり犬がお伊勢参りをしたというお話、しかも実話である。 江戸時代には、みんなでお伊勢参りに出かける「おかげ参り」が全国的に大流行した。猫も杓子もという言葉があるが、犬も伊勢神宮に詣でたという。浮世絵などにも描かれている。

犬のお伊勢参りには、いくつかパターンがあった。オーソドックスなのは、事情があって行けない人が身近な犬に代理参詣(代参)を託したというもの。参詣に行く同じ村の人などに預けるのが一般的だ。これなら別に驚かない。

ステキなのは、犬だけのお伊勢さん単独行! 代参犬だと記した札をぶらさげ、いくらかの旅費をくくりつけて送り出す。すると、お伊勢参りに向かう人たちが見つけ、道中のエサの世話をしながら、宿場から宿場へと送り届けてくれたという。伊勢神宮ではちゃんとお札をいただき、また色々な人たちのお世話になりながら、無事故郷まで帰ってきた。しかも東北地方などの遠方にまで。

中には、村からいなくなった犬が、勝手に伊勢参りに行って帰郷した例もあったという。たまたま人についていったら代参犬だと誤解され、人々の善意によって、図らずも詣でてしまったようだ。

犬の伊勢参り。個人的には、すんなり受け入れられる話だ。犬に信心があったということではなく、人間の側に信心があったのだろう。少し前のチベットには、ほぼ一文無しで聖地巡礼している人がたくさんいた。巡礼者に布施をすることが功徳となるため、だれもが手を差し伸べるからだ。江戸時代の日本にも、そうした信仰心があり、進んで犬を手助けしたのだろう。と想像できる。

しかし、そんなの嘘だろうと思う人も多いようだ。著者は史料をたっぷり駆使して、犬のお伊勢参りは本当にあったんだと明らかにしてくれている。そもそも、犬と僧侶は禁忌とされ、伊勢神宮に近づけなかった時代、僧侶を差し置いて、けっこうな数の犬がお伊勢参りを叶えていたのだ。もう単純に面白い本。

江戸時代には、飼い犬は珍しく、村犬・町犬として、気ままに過ごしていたようだ。明治時代になると犬も管理されるようになり、長距離移動も叶わなくなった。そして、お伊勢参りをする犬は姿を消した。

↓2007年、ラサの北京東路。どこかに運ばれていくチベット犬の哀しげな姿。

 

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犬の伊勢参り (平凡社新書)

犬の伊勢参り (平凡社新書)

  • 作者:仁科 邦男
  • 発売日: 2013/03/15
  • メディア: 新書