チベット式

チベットの今、そして深層 by 長田幸康(www.tibet.to)

【雑】【本】『最悪の予感 パンデミックとの戦い』(マイケル・ルイス )

チベットで高地順応に失敗しそうになっている感じの眠さとだるさ。そして37.1度という中途半端な微熱。副反応はそれだけだった(↓インスタに上げた写真)。ファイザー2回目接種が終わって1週間、目下、抗体産生中(のはず)。

 
 
 
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で、微熱で仕事に向かない体調だったので読んでいたのが、↑の背景に写っている『最悪の予感 パンデミックとの戦い』(マイケル・ルイス)だ。マイケル・ルイスは『マネー・ボール』や『マネー・ショート』の原作でおなじみ。本当にあったことをドラマチックに伝える系のノンフィクション正統派だ。本書ではホワイトハウスやCDC(疾病予防管理センター)の有名な誰かではなく、「郡の保健衛生官」や「退役軍人保健局の医師」といった無名の人物を主人公として、COVID19との戦いを浮き彫りにしている。よく見つけてきたなあ、こういう人たちを。

約400ページほどあるが、コロナの話は後ろ半分で、前半は豚インフル(新型インフルエンザ)やSARSなどの話。すでにその段階で感染症対策は色々と問題をはらんでおり、ついに新型コロナで顕在化したという流れだ。特に、パンデミックものの映画とかでヒーローぽく描かれがちなCDCがひどい。そのディスられっぷり、ダメっぷりが面白かった。たしかに時々変なこと言う人たちだなあとは思っていたが。

以前、「8割おじさん」こと西浦教授の本も読んだが、結局、大きな組織が非常時に色々とうまく機能せず、ほとんどの物事は合理的にも科学的にも進まないというのは、アメリカも日本も大して変わらないようだ。そんな中で献身的・個性的・ヲタク的な専門家の何人かが出会って戦いに挑んでいく過程は、そのまま映画になりそう。

というか、大真面目な当事者たちが、自分らのグループに「ウルヴァリンズ」みたいな名前をつけたりしていて、やっぱこの人たち好きなんだな、そういうのが。なにかこうアメリカだなーという正義感・価値観を共有して突き進んでいく感じが、ストーリー全体を明るくしてくれている。ゲイツ財団やザッカーバーグのマネーがちゃんと絡んでくるあたりもアメリカの希望だろうか。

現実のパンデミックとの戦いがまだ続いていることもあり、盛り上がって終わるという感じではない。が、主人公が次のステージに、実にアメリカ的にステップアップし、明日を見つめる的な、前向きな終わり方が、これもそのまま映画になりそうだ。最後の最後、池上彰さんの解説で、日本の現実に引き戻されるところも含めて、微熱がありながらも一気に読めてしまった。