I Love Tibet!ホームページの「チベットものテレビ番組全リスト」に、長年にわたって「西田敏行が能海寛の足跡をたどったやつ」として掲載していた番組が、ついに判明しました。
確かに見た記憶はあるものの、当時ビデオデッキを持っていなかったため録画できなかった番組。まだチベットがテレビで紹介されることも少なかった時代に、「能海寛」「東チベット」というマニアックなテーマだったため強く印象に残っていました。チベットに初めて行った頃だったのでなおさら。なので「ぜひ見たい。録画された方はご連絡を!」と記載していたところ、なんと、本当にご連絡をいただいた次第です。ありがとうございます♪
貸していただいたのはβのビデオテープです。VHSではなく。世代的に何のことだかわからない人も多いと思いますが、まずβのビデオを再生する装置がありません。なのでβ用デッキを業者からレンタルして、ようやくハードディスクにダビングできました。
権利関係的にまずいと思うので、キャプチャは載せませんが、概要は「チベットものテレビ番組全リスト」の「80年代」のところに追記した通り。
「日中国交回復15周年記念 中国大秘境 世界初公開!〜幻の西域〜パンダと西遊記の里」という一切チベットを感じさせないタイトルがついていますが、内容は意外にも真面目で、まさに「西田敏行が能海寛の足跡をたどったやつ」。『西蔵漂泊 チベットに魅せられた十人の日本人』(1993年)が刊行されるずっと前、よりによって中央チベット入りできずに消息不明になってしまった能海寛に、よくぞスポットを当ててくれたなあと感謝したいです。これが刺激になったのか、翌88年には全4回にわたって西川一三の足跡を追った「新世界紀行」が放送されています。まあNHK「シルクロード」ブームの流れもあったんでしょうね。
西田敏行が行ったのはリタンまでだったように記憶してたのですが、実はバタンまで行き、さらに金沙江を超えてチベット自治区側に入域してました。「橋を撮影するな」と注意されつつ、能海寛が超えられなかった金沙江を渡って、あちら側の河原で、あの一句を詠むわけですよ。
「のぞめども 深山の奥の金砂江 つばさなければ 渡りえもせず」
個人的にも初めてチベットに行った頃の映像なので感慨深いものがありますね。今となっては簡単に行ける場所ばかりですが、アクセスは便利になっても、こんな地味なテーマで、時間をかけた豪華な番組が撮影されることは、もうないのでしょうねえ。。
【参考リンク】この番組のプロデューサー・永堀 徹さんの回顧録
テレビ・ドキュメント番組作りの面白さ(3) 日中国交回復記念スペシャル ドキュメント フジテレビ「中国大秘境」前編
テレビ・ドキュメント番組作りの面白さ(3) 日中国交回復記念スペシャル ドキュメント フジテレビ「中国大秘境」後編

新編・西蔵漂泊 チベットに潜入した十人の日本人 (ヤマケイ文庫)
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- 出版社/メーカー: 山と渓谷社
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